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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)4940号 決定 1954年2月23日

本籍

朝鮮慶尚北道大邱

住居

岡山市住吉町一〇三七番地

無職

石田春子こと

方文度

大正一五年二月一三日生

右の者に対する酒税法違反、同幇助、外国人登録令違反被告事件について昭和二七年三月二七日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

被告人の弁護人安富東一の上告趣意は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。なお、原判決によれば、被告人は山田某が焼酎醪の密造をするものであることを知りながら、昭和二五年五月一五日頃判示倉庫一棟を貸与して右山田の犯行を幇助した後、右山田が大阪に赴く際右物置の管理を依頼されてこれを承諾し、翌月一三日頃から同月一七日迄の間右山田の密造した焼酎醪を所持したというのである。従つて被告人の焼酎醪密造の幇助行為とその所持とは日時を異にし別個の犯意に基いてなされたものであるから、原判決がこれを別罪と認めたことは何等違法ではない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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